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三井住友カードがクレジットカードの不正利用検知にAI(人工知能)を使ったら、不正被害の検知精度が5%から90%に急上昇!

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ソファーの後ろに並べられている書籍の画像

AI(人工知能)を使ってクレジットカードの不正利用を防ぐ試みを、三井住友フィナンシャルグループが2016年に開始しました。日本経済新聞による報道です。

三井住友フィナンシャルグループは傘下の銀行やカード会社の金融サービスに人工知能(AI)を活用する。

クレジットカードの不正使用のチェックや為替取引の売買判断などに生かすことを想定している。

米グーグルの技術を使ってそれぞれの業務に適した独自のAIをつくりこみ、来年度の実用化をめざす。

人工知能によるカード不正検知について:

すでに不正検知システムはあるものの:

これを読んで『えっ?今まで不正検知システムとかなかったの?』と思うなかれ。

実は現在でもクレジットカード会社には、クレジットカードの不正利用を検知するためのシステムが構築されているのですが、こちらでは残念ながら「一定額以上の利用があった場合に確認」とか、「居住地から遠いところで利用があれば確認」などの条件定義による検知しか出来なかったために、過剰に検知にひっかかってしまう問題がありました。

たとえばみなさんも経験があるかもしれませんが、家電量販店でパソコンや洗濯機を購入しようとした時にクレジットカード決済ができず、カード会社の方と電話で会話して本人確認をしなくちゃいけなかったアレは、そういう事情があったのです。

カード会社は昔から不正利用を監視している

カード会社は昔から不正利用を監視している
人工知能なら学習してくれる:

その点、AI(人工知能)であれば現行のシステムよりも高い精度で不正検知できるようになるため、不正でない利用分まで確認する手間が省けるとのこと。

AIの応用が早期に実現しそうなのは、クレジットカードの不正検知だ。

現行のシステムより高い精度で不正使用を見分けることができるようになるため、実際は不正使用でないカードの利用まで止めて顧客に不便をかけることが少なくなる。

学習能力のあるAIなら、その精度を高められると期待されているのです。

結果は検知精度が5%から90%に:

では、人工知能をクレジットカードの不正検知に利用した効果はどのくらいだったのか?

気になるその成果は…というと、なんとクレジットカード不正利用の検知精度が5%から90%にアップしたとのこと(下記は1年ほどAIを運用してみた結果)。

  • 従来:不正の疑いがある取引のうち、5%が不正
  • AI利用:不正の疑いがある取引のうち、90%が不正

三井住友フィナンシャルグループ(三井住友FG)は、ディープラーニング(深層学習)を使ってクレジットカードの不正検知の精度を上げる検証を行った。

不正利用の疑いがあると判定した取引のうち、本当に不正な取引だった比率を従来の5%程度から90%程度へと大幅に引き上げることに成功した。

劇的すぎるほどの精度向上ですよね、これ。

とはいえ、クレジットカードの不正を発見した件数自体が増えたわけではなく、あくまで向上したのはその精度のほう。

従来は100件ほど「不正の疑いがある利用」を見つけた場合、そのうちの95%がまったく問題のない健全な利用だったものが、AI(人工知能)を利用した場合には「不正の疑いがある利用」の90%が不正利用だったようなので、検知精度が劇的に向上したようなんです(どちらも不正を発見した件数にはほぼ違いがない模様)。

確認作業を減らすことができる:

それじゃ人口知能をクレジットカードの不正利用検知に使うのは無意味だったのかといえばそんなことはありません。

なぜなら従来の不正検知システムでは90%分の無駄な確認作業が必要になっていたため。

クレジットカードの不正利用確認というのは1件1件、クレジットカード保有者に対して「先程、○○にて○○万円の利用をしましたか?」と電話確認する必要性があるので、それが不要になるだけでもカード会社にとっては大きな負担減となりました。

  • 従来:電話確認のうち95%が無駄だった
  • AI利用:電話確認のうち10%のみが無駄だった

不正検知の精度が上がれば問い合わせの作業が減り、その結果カード会員や店舗への負担も軽減することができる。

そしてその結果として三井住友カードの経営状態が改善すれば、クレジットカードサービスそのものの向上に繋がったり、クレジットカード加盟店(カードが使えるお店のこと)の加盟店手数料も引き下げも期待できるわけですから、AI導入には大きなメリットがあったと言えます。

ますます安心&安全になるクレジットカード:

変わった形の交番

最後に。

あまりご存知のない方のために書いておくと、クレジットカードは仮に不正利用をされたとしても、盗難保障と呼ばる補償制度がその損失を負担してくれる仕組みになっています(詳しくは下記記事にて)。

そのため、100万円使われようが1億円使われようが、カード保有者に負担義務はまったくなし。

加えて今回紹介した人工知能による不正検知も強化されていくことを考えると、クレジットカードはますます安心&安全な支払い手段になっていくのでしょう。

将来的には不正利用ゼロな決済手段になるといいなぁ…と思います。

以上、三井住友カードがクレジットカードの不正利用検知にAI(人工知能)を使ったら、不正被害の検知精度が5%から90%に急上昇…という話題でした。

参考リンク:

クレジットカードをまだ作ったことがない方は、当サイト「クレジットカードの読みもの」がおすすめするクレジットカードをまとめた下記記事を参考にどうぞ。

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news.cardmics.com

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